危なすぎる、感覚に依存した経営
2015/05/11
定食屋で売上を上げるためにも強化する商品を分析している時のことでした。
あげる:「お店でもっとも売れている商品はどれですか?」
経営者C:「ダントツとんかつ定食だと思います。」
あげる:「そうですか?それは、データ上ですか?」
経営者C:「いえ、注文されている回数が多いから、そう思っています!」、「ただ、多分あっていますよ」
あげる:「わかりました。たぶんという感覚に今後の経営を委ねるのは少し不安なので、一ヶ月間の伝票をもとに、数えてみるというのは如何でしょうか?」
経営者C:「わかりました。やってみます!」
数日後
経営者C:「あげるさん、数えてみたところ、なんと1位は唐揚げ定食でした。そしてとんかつは3位でした。」
あげる:「確かですか?」
経営者C:「念のため、3ヶ月分数えたので間違いないです。2位と3位が入れ替わることがあっても1位は不動でした。」
感覚って怖いですね!
私は感覚というものを基本的に信用しておりません!
お店を経営する上で重要なのは、統計上のデータや過去の実績・事例そして数字です。これらのデータがあって初めて、感覚は生きてきます。
今回の場合も、見直すべき商品はとんかつではなく、唐揚げ定食でした!もちろん、出数以外の理由も色々ありましたが、総合的な分析の結果、やはり唐揚げを強化すべきという結論が出ました。
主な理由としては、近隣にとんかつ専門店があったということに加え、Cさんのお店のとんかつは原価が少し高かったなどが挙げられます。
唐揚げの強化方法としては、まず他店の唐揚げに負けないくらいの商品にする必要がありました。わかりやくお得感をお客様に感じてもらうためにボリュームを増やし、常連のお客様に飽きさせないためにも唐揚げの種類も増やしました。
定番の唐揚げ、唐揚げおろしポン酢、唐揚げカレータルタルそして、盛り合わせといった感じです。
これにより、もともと来店していたファン層の来店頻度を上げることができました。
次に、新規客の取り込みを狙って、”唐揚げがおいしいお店”という印象作りのために、店頭や店内で様々な方法で打ち出しました。
結果、実際に“唐揚げがおいしいお店”という認識が次第に増え新規客も増え始めました。
1ヶ月後には、お店の売上も昨対で130%まで伸ばすことができました。
今回のケースは、具体的な数字をもとに分析した結果、売を上げる事が出来ました。
しかし、もしCさんの感覚を信用してとんかつを強化していたらどうなっていたでしょうか?
今回のような結果が出ていたか疑問が残ります。
実際に数字上のデータと感覚にズレがあることは、よくあることです。
感覚に頼りすぎるとそれだけで経営上のリスクが発生してしまう可能性があります。
今や飲食店で使用しているレジのほとんどがボタン一つでABCなどの商品出数を簡単に見ることができます。
私のクライアント先でも、感覚だけに頼らず、月末に必ず1ヶ月分のABC分析を実施するように促しています。
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