飲食店の新規客集客方法① ~AIDMA理論と看板の関係性~
何故あなたのお店に新規客が来ないのか?
その理由に悩まされる飲食店経営者は多くいると思います。
新規のお客様が上手く集客できない最も大きな原因は、正しい集客方法を理解せずに、様々な販促活動を実施してしまっているためだと考えられます。消費者は一般的に商品を消費する際、5つの心理段階を経由して一つの商品を購入します。この購買における心理プロセスを理解出来なければ効果的にお客様を集客することは出来ません。言い換えるならば、消費者の購買における心理プロセスさえ理解し、それをもとに集客活動を実施するだけで簡単に新規客を集客することが出来るのです。
では、消費者はどのような心理過程を経て、飲食店を選択しているのでしょうか?
お店の売上アップのためにも、新規客は欠かすことの出来ない存在です。
このページでは、新規客を集客するための基本原則とその活用術について解説します。
飲食店の新規客を集客するためのAIDMA理論とは
AIDMA(アイドマ)理論とは、米国のローランド・ホールによって提唱された消費者の購買行動に関するマーケティング理論です。消費者は、ある商品を購入する際に必ず、5つの心理プロセスを経由します。それが、A=Attention(注意)、I=Interest(興味)、D=Desire(欲求)、M=Memory(記憶)、A=Action(行動)の心理プロセスであり、各プロセスの頭文字を組み合わせたものがこのAIDMA理論です。5つの消費者心理を良く理解し、コントロールすることで消費者を容易に購買へと誘導することが出来ます。
Attention(注意)
新規客を集客するためのファーストステップ、飲食店の存在をアピールしよう
新規客を集客する上で最も重要なことが、お客様にお店の存在を認知してもらうことです。そもそも、お店の存在を知らなければ利用することは不可能です。購買を促進する第一のステップは、できる限り多くの消費者にお店の存在を伝えることです。そして、認知度を高める上で良く用いられているのが店頭の看板と照明です。
お店を認知してもらうということは、お店の存在そのものを伝えるのはもちろんのこと、そのお店が“何屋”なのかまで伝える必要があります。照明は、お店の外観を明るくすることで、そこでお店を営業している目印となります。照明の明かりを見た消費者は、「あそこに何かお店がある。」などとお店の存在を認知します。つまり、外観の明かりを通じて注目してもらうことができるのです。次に、そのお店が“何屋”なのかを伝えることで次の心理プロセスである“興味”に繋げることが出来ます。そこで、効果的なのがお店のメイン看板や袖看板と称される店頭看板です。これらの看板を用いて、その飲食店の業種や業態をお客様に簡潔に伝えことがポイントです。看板には、お店の店名と屋号(サブタイトル)そして“ウリ”となる商品の情報を入れるとより効果的です。ただ、情報量は少なく、なるべく簡潔に一言でお店の特徴を表現することが理想的です。これらの看板は、あくまでも発見や認知を目的にしているため、行き交う人々や車が一目で理解できる内容にする必要があるのです。メイン看板や袖看板は、お客様に入店してもらう直接的な効果を目指したものではないのです。しかし、多くの飲食店では、これらの看板で、5つの消費者心理プロセスを全て賄おうとしているケースが少なくありません。それでは、効果的な集客方法を実施しているとは言えないのです。看板などの販促物には、それぞれ異なる効果があるため、それぞれの目的に合わせた内容で表現する必要があります。そして、お店のブランドイメージが構築できていない場合においては、店名よりも、飲食店の業態を訴求する方が効果的な場合があります。広く認知されていないお店の場合、店名からも利用イメージを伝えることは難しいでしょう。そのため、提供しているメインの商品の総称である、焼鳥や焼肉などの業態名を訴求する必要があるのです。しかし、中には、お店の店名を大きく表記しているケースや、業態名を表記していないケースは少なくないのです。大手の飲食店などの店名は、すでにブランドイメージが出来上がっているため、店名を全面に推し出すことでお客様の集客に繋げることが出来ます。しかし、これは、ブランドが広く地域の方に知られている場合にのみ有効な手法なのです。
あなたのお店は、店名から利用イメージを抱くことが出来ますか?
もし、その答えがNOであれば、業態名を大きく表記する必要があります。その基準は、50m先からでも業態が一目で認識できるかどうかというとこにあります。メイン看板や袖看板は遠くから見た時にできる限り瞬時に“何屋”かが分かるものになっていなければ、行き交う人々にお店の存在を認識してもらうことが難しいでしょう。照明やメイン・袖看板を通じて消費者に認知してもらうことが出来れば、次の消費者心理を刺激する作業に移ります。
Interest(興味)
新規客を集客するためのセカンドステップ、飲食店の“ウリ”をアピールしよう
次は、潜在顧客にお店に対して興味を持ってもらう必要があります。お店を発見した潜在顧客はお店を意識し始めます。その意識を興味に変えることで、集客に繋げることが出来ます。そのためにも、直感的に「ここのお店、何かおいしそうだな~」とか、「素敵なお店」などと、感じてもらう必要があります。そのためにも、お店のコンセプトや“ウリ”を分かり易く伝える必要があります。購買における“興味”の心理プロセスでは、潜在顧客にお店の魅力を伝え、立ち止まってお店の情報を収集してもらうように促す必要があります。そのために効果的な方法がA型看板を用いてお店の“ウリ”を宣伝する方法です。“注意”の段階では、お店が“何屋さん”かを伝えることが重要でしたが、この段階では「ただの焼鳥や焼肉ではない!」ということを伝えなければならないのです。
一言でお店の“ウリ”を表現しよう!
A型看板はメイン看板や袖看板などと違い、屋号や店名などの情報よりも、お店の“ウリ”がイメージできる内容を記載すると効果的です。商品の写真や絵などの画像と“濃厚”、“コク旨”、“あっさり”、“こってり”、“特大”、“○○直送”、“○○産”、“限定”などの目を引くキャッチコピーを組み合わせることで、お店の潜在顧客である通行人に立ち止まってもらうことが目的です。その後は、実際に入店を促し、潜在顧客から顧客へ変換していく作業に移ります。
Desire(欲求)
新規客を集客するためのサードステップ、潜在顧客の欲求を刺激しよう
お客様を立ち止めることが出来れば、次は実際に行動に移ってもらう必要があります。このプロセスでは潜在顧客の欲求を刺激し、入店を促すための段階です。欲求を刺激された潜在顧客は一気にお店の顧客に近づきます。潜在顧客の欲求を刺激するためには、より具体的にお店の“ウリ”を店頭で伝える必要があります。ここまでの段階で通行人はお店に興味を持ち始めています。あと一歩で入店するとこまで来ています。しかし、まだまだお店に対する不安を払拭出来ていません。人間は初めてのことを体験することにおいては、本当に憶病な生き物です。「本当においしいのかな~」などと感じてしまっているのです。この不安を払拭しないことには、お店に入店してもらうことは出来ません。そのためにもダイレクトに潜在顧客の欲求を刺激して、「食べたい!」や「お腹空いたな~」などと感じてもらう必要があります。
皆様は、町の惣菜屋さんの前を通る時に山盛りになった唐揚げや揚げ物を見て「お腹空いたな~」と感じたことはありませんか?
これが、まさに欲求が刺激された瞬間です!
欲求が刺激されて並んでいる惣菜を見ながら悩んでしまったら最後、買ってしまうことになるのです。飲食店でもこれと同じ状況を作り出せば、お客様になってもらうことが出来ます。この状況を作り出すためにも、お店の外観で一貫して“ウリ”を宣伝する必要があります。前述したメイン看板や袖看板そしてA型看板同様にお店の“ウリ”を、様々な看板を組み合わせながら訴求することが重要です。その方法にはいくつかありますが、重要なことはお店の“コンセプト”から絶対にブレないことです。以下にいくつかの有効な方法をご紹介します。
潜在顧客の欲求を刺激するメニュー看板
メニュー看板とは、その名の通りお店の品揃えを表記したもので、お店の“ウリ”としている商品とその商品カテゴリーを中心に、主だった商品ラインナップを記載します。消費イメージに繋げるためにも、“ウリ”としている商品は写真を添付するとさらに効果的でしょう。
潜在顧客の欲求を刺激するこだわり看板
こだわり看板とは、お店の“ウリ”が何故それほど素晴らしいのか、ということを伝える為のものです。他店との違い、つまり差別化ポイントを宣伝します。“ウリ”商品のこだわりを細かく記載すると効果的です。具体的には、素材へのこだわり、作り方へのこだわり、店主の商品への想い、商品が出来るまでの工程などを記載するといいでしょう。
潜在顧客の欲求を刺激する商品陳列
実際に商品を陳列することも効果的な集客方法の一つです。実際に多くの繁盛店でも店頭で商品陳列を実施しています。これは、必ず“ウリ”となる商品を陳列することと、ボリューム陳列にしなければ、逆効果となってしまいますので注意が必要です。ボリューム陳列とは、大量に陳列するということです。先ほどの町の惣菜屋の例でも、基本的に山盛りになっていないと欲求を刺激することが出来ません。少ししか並んでいないとむしろしらけてしまい、購買へと導くことは難しいでしょう。これは、実際に良く見かけることです。繁盛店のマネをしているのか、雑なのか分かりませんが、食材が2、3個テーブルに転がっているお店があります。これはボリューム陳列と呼ぶには程遠いものです。逆効果になる可能性がありますので、すぐにやめることをお勧めします。商品陳列の最大のポイントは、見ただけでお腹が空いてくるようなボリューム陳列にするということです。
潜在顧客の欲求を刺激する実演調理
実演調理とは、実際に“ウリ”の商品を店頭で調理したり、お店の設計上外からでも、調理風景が見えるように作ることで“ウリ”の商品を伝える手法です。ボリューム陳列同様に、調理の様子が見えることでダイレクトに欲求を刺激することができます。実演調理もボリューム陳列同様に豪快さがあると尚効果的です。せっかく見せるのであれば、大げさなぐらいの方が通行人も分かりやすく、欲求も刺激されやすいです。
Memory(記憶)
新規客を集客するためのファイナルステップ、お店の存在を覚えてもらおう
欲求を刺激した段階で、お店を実際に利用する人も出現します。しかし、すべての潜在顧客がその日の内に利用するとは限りません。既に食事を済ませた方、仕事途中に通過しているだけの方、一人では入りにくいと感じた方、時間がない方、既に行くとこを決めている方、など様々な理由で今すぐに利用することができない潜在顧客は必ずいます。その方々にも、今後お店を利用してもらえるように、お店の存在を記憶してもらう仕組を作ることが重要なのです。つまり、通行人の方に確実にお店を覚えてもらう必要があります。人の記憶というものは非常に曖昧なものです。そして、忘れっぽい生き物です。そのため、お客様がある商品を頭の中でイメージした時に、瞬時にそのお店の店名が浮かばなければ、タイミング良く利用してもらうことが出来ません。一部の食通を除いて、人は常に食べるためのお店のことを考えていないのです。脳の大半は仕事や人間関係そして趣味などに使ってしまっています。つまり、残り僅かな脳のスペースに、お店の情報量を要領よく入れ込まなければなりません。
脳内で瞬時に、ラーメン=A店、とんかつ=B店、焼肉=C店、焼鳥=D店
という風に店名が変換されるようになっていないと、中々利用してもらうことは難しいのです。ここまでの段階でしっかりとお店の“ウリ”を一貫して表現できて入れば、ある程度お客様のイメージの中に刷り込まれている可能性はあります。しかし、残念ながら人の記憶は曖昧で、非常に忘れやすいのです。たとえ、欲求を刺激され、「食べたい!」と強く感じた人でさえ、すぐにその事実を忘れてしまいます。それでは、今後利用してもらうことは難しいでしょう。そのためにもこの段階では、お客様に絶対に記憶してもらうための政策を実施します。これは非常に簡単なことです。「おいしそうだな~」と感じた潜在顧客にお店を記憶するためのツールをお渡しすればいいだけのことです。繁盛店の中には、スタッフが一人ピークタイムに店頭に立ち、お店の情報の入ったショップカードやリーフレットを配っているのを見かけます。これは、まさに“記憶する”を狙った手法なのです。しかし、スタッフを常に外に立たすことは、人件費的にも中々マネすることができないでしょう。そこで、簡単にできる方法は、外に出しているメニュー表やメニュー看板にショップカードやリーフレットを設置しておく方法です。このやり方であればどんなお店でも実施することが可能です。
Action(行動)
新規客の来店を待ちかまえよう
ここまでの内容を確実に実施できていれば、後は待つだけです。お客様の方から自然と寄ってきてくれます。お店の存在を知って、興味を持ったその日に利用するとは限りませんが、必ずお客様のタイミングで来てくれます。このように、一貫してお店の“ウリ”を外観全体で表現できているお店は、基本的に新規客の集客で困ることは少ないでしょう。そして、常にお客様で賑わうお店になっているはずです。
飲食店の新規客集客方法① ~AIDMA理論と看板の関係性~ まとめ
お客様を集客する上で、いかにこのAIDMA理論が重要かをご理解いただけましたでしょうか?新規客を確実に集客できている、飲食店では、必ずこの理論をもとにお店の外観を作り上げています。AIDMA理論は一般的に広く知られている理論の一つです。弊社ではこれにさらにRを加え、AIDMA+R(Repeat)理論として普段からコンサルティングの中でも活用しています。AIDMA理論は、主に購買に移るまでの消費者心理を表したものです。しかし、これだけでは、お店の売上を上げ続けることは出来ません。集客したお客様は、リピーターになってもらう必要があります。つまり、集客した新規のお客様を固定客に変えなければ、長く繁栄することが出来ないのです。
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