圧倒的なウリが、飲食店の集客アップに繋がる
2015/07/21
とある焼鳥店にお伺いした時のことです。
私:「社長、お店の“ウリ”は何でしょうか?」
焼鳥店店主:「うちのお店は全部おいしいです!お客様にも何を食べてもおいしいね!と良く言っていただけます。」
実際に商品を頂くと、どれもおいしい商品ばかりでした。そう答えられたのにも納得でした。
しかし、このお店は焼鳥屋さんです。
つまり、お客様には、
「やっぱりこのお店の焼鳥が一番おいしいね!」
と感じて頂かないとダメなのです。
極端な話、他の商品は普通でも、焼鳥だけはずば抜けておいしいと感じてもらえた方が、集客力が高いことになります。
実は、このような状況に陥っている飲食店は少なくないのです。むしろ、自店の“ウリ”を明確にし、強化しているお店の方が少ないが実情です。皆様のお店でもこのような、状況に陥っている可能性があります。お客様を集客するためには、そのお店にしかない圧倒的な“ウリ”(商品)を持っていることが特に重要です。このページでは、圧倒的なウリを作るための思考法について解説します。
飲食店の集客力を高める“ウリ”を明確にしよう
飲食店経営者の中には、「うちの商品は、他のどこのお店にも負けない!」や「うちのお店は、他店と比較しても○○が特に優れている」などと感じている方が多くいます。
何を持って「負けない」、や「優れている」と感じているのでしょうか?
お店や、お店の商品の評価はお客様がします。つまり、他店との相対的比較をもとにした評価でなければなりません。自分が一生懸命開発したからといって必ずしもその商品が一番だとは限りません。そもそも、その商品やお店の良さは本当にお客様に伝わっているのでしょうか?独りよがりの“ウリ”では、お客様を集客することは難しいでしょう。飲食店の“ウリ”とは、必ず、自他ともに認められなければならないのです。
集客力のある“ウリ”づくりは、お客様に直接聞くことから始めよう
まず初めに実施しなければ、ならないことはお店の“ウリ”を明確にすることです。もし、既に“ウリ”があり、それを提供しているのであれば、実際に“ウリ”として認識されているかを確認しなければなりません。そのためには、アンケートなどを作成し、来店しているお客様から直接ヒアリング調査を実施することが効果的でしょう。質問内容は以下の通りです。
①来店した理由や目的
②購入した商品
③最も印象に残ったこと
④③の理由
⑤他店より優れていると感じた点
⑥他店の方が優れている点
などの質問をお客様に投げかけることで、お店の“ウリ”が具体化します。
ポイントとしては、すべての項目の回答が、お店が“ウリ”として提供しているモノに関連しているかどうかということです。各項目の回答がバラバラな場合は、経営者が思っているほど、お店の“ウリ”がお客様に伝わっていなかったり、“ウリ”のすごさに気づいてもらうことが出来ていない可能性があります。このままでは、お客様を圧倒的に集客することは難しいでしょう。
お客様を集客する、飲食店の“ウリ”づくりのポイント
飲食店の“ウリ”はちょっとしたことで、競合他店を寄せ付けない圧倒的な集客商品へと生まれ変わらせることが出来ます。本当にちょっとしたコツだけで、それは実現可能なのです。今ある商品はまだ、おすすめ商品でしかありません。飲食店において圧倒的にお客様を集客するためにも、今あるおすすめ商品を、他店を寄せ付けないほどの圧倒的な商品に変える必要があるのです。ここからは、新商品を開発することなく、既存の商品にひと手間加えるだけで、圧倒的な差別化商品へ変貌させるテクニックについて解説します。
飲食店の集客効果を上げる、お店のコアコンピタンス
お客様は全ての商品が平均点以上のお店より、一つの商品がずば抜けているお店を選びます。前述した焼鳥店の例のように、一つのお店で全ての商品をオススメにすることは、マイナス効果なのです。そんなことをしてしまっては、かえって“ウリ”のない、特徴のないお店になってしまいます。全部がある程度おいしいお店よりも、圧倒的に一つの商品、あるいはその商品群がおいしい方がお客様にも支持されやすく、記憶してもらうことが出来ます。「なんでもある程度おいしいお店」は大手のチェーン店に任せておけばいいでしょう。個人店が大手に勝つためには戦う土俵を変えなければなりません。そのためにも圧倒的なお店の“ウリ”となる商品を作る必要があります。この焼鳥屋さんの場合は、本来、焼鳥を“ウリ”にしなければなりませんでした。そして、ここで度々指摘する圧倒的な“ウリ”とは、いわば、お店のコアコンピタンスのことを意味しています。
コアコンピタンスとは、「顧客に対して、他社には提供できないような利益をもたらすことのできる企業内部に秘められた独自のスキルや技術の集合体」と定義されています。
例えば、シャープの薄型ディスプレイ、ソニーの小型化技術、ホンダのエンジン技術などが挙げられます。飲食店でも、他の競合店を寄せ付けない圧倒的な“ウリ”を作ることで勝ち続けることができます。そして、その“ウリ”を商品と関連付けることで集客力を一気に上げることが出来ます。飲食店の場合、お客様は飲食することを目的としているため、“ウリ”をお店で提供している商品に関連付けた方が分かりやすく、差別化しやすいのです。集客力を上げるためにも、お店で提供している商品を圧倒的な“ウリ”に変える必要があります。そして、これは今ある商品に少し手を加えるだけで簡単に実現することが出来るのです。
飲食店の圧倒的な集客商品は、既存の商品から生まれる
圧倒的な集客商品となる飲食店の“ウリ”は簡単に作ることが出来ます。お店の“ウリ”を作る方法は、既存の定番商品に少し手を加えることで簡単にできます。
皆様はiPhoneという商品をご存知でしょうか?
たぶん知らない人はいないのでしょう。
私も携帯電話はiPhoneを使用しています。今では、当たり前のようにこのiPhoneを中心とした、いわゆるスマートフォン端末をほとんどの人が使用しています。しかし、思い出していただきたいのが、はじめてiPhoneが市場に登場した時のことです。衝撃的でしたよね。もしかしたら、既にそういう商品が登場するのを予測していた人もいるかもしれません。しかし、当時はメディアなどでも、画期的な商品が開発されたと大変話題となりました。
一見この画期的な商品でさえも、市場にすでに存在している定番の商品に少し手を加えただけなのです。これは、もともと市場にあった携帯電話とパソコンの機能を融合させただけなのです。そして、それを可能とした技術力と開発力こそがコアコンピタンスなのです。考えだけなら、誰でも自由に持つことが出来ます。
「こんな商品があったら便利だろうな~」
と思うことは誰にでもできます。しかし、それを実現するためには、それなりの技術力や開発力が必要です。
その技術力で商品を開発することで、他社より優位な立場に立つことが出来るのです。そして、他社よりも、圧倒的にお客様を集客することが出来るのです。
では、飲食店の場合はどうすればいいのでしょうか?
iPhoneと同様の戦略をとればいいだけの話です。つまり、既にあるお店のオススメ商品に違う機能を加え、圧倒的な“ウリ”に育てあげればいいのです。違う機能とは、素材、味付け、量、見た目、盛り付け、演出、提供方法、食べ方、価格、品揃え、ネーミングなどの要素です。実際に、唐揚げという定番の商品でも圧倒的に集客しているお店もあります。このお店では唐揚げを鶏の半身揚げとして提供しています。本来、唐揚げというと、一口大に切った鶏のもも肉に衣をつけて揚げたものが5貫づけぐらいで提供されるのをイメージすると思います。このお店は、その唐揚げに新たな提供方法と量を増やすという性質を付加しただけです。それを、可能としたのが、このお店の本業が肉屋さんだったということです。鶏肉を丸ごと安く仕入れる仕入ルートを持っていたのです。つまり、仕入力に強みがあり、この商品をお客様にお値打ちのある価格で提供することができたのです。他にも、刺身の盛り合わせの量をどこよりも多くすることで繁盛しているお店などもあります。繁盛店のほとんどが、このように既存の商品に自店ならではの強みを付加しているだけなのです。
飲食店では、おいしいへの理由づけが、集客商品へと変貌させる
飲食店経営において、謙虚さは不要です。コンサルティング活動を実施していると、お店のこだわりを、明記したくない経営者に出会うことがあります。
「うちの良さは、分かる人に伝わればいいんだよ。」などと考えています。
厳しい言い方かもしれませんが、飲食店経営はそんなにあまくありません!
お店の良さや、“ウリ”などは必ず伝えなければ、お客様を集客することは出来ません。実際に、お客様を圧倒的に集客している繁盛飲食店では、必ず“おいしさ”への理由やお店のこだわりなどを明記しています。言い換えるならば、何となくお客様が勝手においしいと判断する繁盛店は、ほとんど存在していないといっても過言ではありません。より効果的にお客様を集客するためにも、お店の“ウリ”良さを伝える努力をしましょう。
今あるお店のこだわりを集客商品に付加しよう
飲食店の集客商品づくりのポイントは、“おいしさ”の理由を明確にすることが重要です。前述した、私のコンサルティング先の焼鳥店でも、“おいしさ”への理由づけをしたことで集客力を上げた成功事例の一つです。このお店の強みは使用している鶏、タレへのこだわり、焼きへのこだわり、部位へのこだわり、などがありました。それを分かりやすく伝わりやすい形で既存の焼鳥商品に付加しただけでお店の集客力はすぐに上がり、多くの新規客を集客することが出来ました。来店したお客様が「何故ここのお店の焼鳥が他よりおいしいのか」を明確にしたことで既存の商品が圧倒的な“ウリ”へと生まれ変わることが出来たのです。
お店が実施しているこだわりなどは、お客様に伝わっていなければ存在しないのと一緒です。どんな些細なことでもお店のこだわりは伝えなければなりません。今回の焼鳥店でも、既に実施しているお店のこだわりをお店の“ウリ”として商品に付加したにすぎません。しかしそれが結果的にお客様の来店動機に繋がりました。
このように新たな性質を付加してお店の“ウリ”が完成した後は、それを他店と比較します。他店と比較して本当にその商品は近隣のどのお店よりも優れているかどうかを確認しなければなりません。例えば、唐揚げの大きさや量を“ウリ”にしているお店は、近隣の競合店のどの唐揚げよりも大きくないと、圧倒的な“ウリ”とは呼ぶことが出来ません。自店の“ウリ”は競合のどのお店よりも勝っているように強化しなければならないのです。そして、その違いはお客様が一目見たときにすぐに気づくくらいに、単純明快な方が差別化しやすいのです。
一度、お店に“ウリ”を作ることができると、メインターゲットの来店動機はより明確なものになります。
「何故そのお店の唐揚げを食べるのですか?」
「おいしいから」
「何がおいしいのですか?」
「一つあたりの大きさが大きくてジューシーだから」
“おいしい”に理由づけをすることにより、お客様に選んでもらうことが出来るのです。
実は“おいしい”という感覚自体、実に曖昧なものです。味の感じ方は人それぞれ全く異なります。男性・女性、年齢、地域性、育った環境などで、味の好みは全く違うのです。つまり、“おいしい”にただ一つの答えは存在しません。日本人が好む味はあるかもしれませんが“おいしい”を完璧に定義づけることは難しいでしょう。しかし、“おいしさ”の理由はそのお店ごとに必ず答えがあります。お客様は、その“おいしさ”の理由をもとにお店を選び、お店の判断をします。そして利用した結果、そのお店に共感してもらうことが出来れば繰り返し利用してもらうことが出来ます。
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