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飲食店スタッフのパフォーマンスアップ!〜ヤンキース・ドットソンの法則〜

      2015/06/29

パートアルバイトスタッフを教育する上で有効な法則があります。
それがヤンキース・ドットソンの法則です。

ヤンキース・ドットソンの法則とは、アメリカの心理学者2名が唱えた心理学における法則の一つです。内容は、プレッシャーがどのようにパフォーマンスに影響を与えるかを研究したものです。簡潔に述べると、人は適度のプレッシャーやストレスがある方がパフォーマンスも向上するということが言えます。つまり、適度の緊張感があることで最高のパフォーマンスが出来るのです。また、緊張感を与えすぎることは逆効果であり、さらには、実際の能力よりはるかに難しい業務においては、ストレスレベルを下げることが望ましいということもこの研究で判明しています。

飲食店のスタッフ教育においては、まずは個々の能力をしっかりと把握し、そのスタッフに適した、“頑張れば達成できる”レベルの課題を与え続けることが、スタッフを育てる上で特に効果的だと言えます。さらにより教育効果を上げる為には、成果に対して何らかのご褒美を付けることです。これにより常に適度な緊張を与えることができ、さらに良いパフォーマンスに繋げることが出来ます。

例えば
①「生ビールをオススメするようにスタッフに支持をするが特にご褒美なし」
②「生ビールをオススメして注文を取るごとに10円のインセンティブを支払う」
③「生ビールをオススメして注文を取るごとに1万円のインセンティブを支払うが、断られるごとに1000円の罰金を徴収する」
上記3つの例の場合、最もスタッフのパフォーマンスが向上するのは何番だと思われますか?

たぶん皆さまお分かりだと思いますが、ほとんどの人が②の場合にパフォーマンスが向上すると考えられます。
まず、①の場合は特に特別感がないため、普段の業務として何気なくこなしてしまうため特別やる気も起きないでしょう。③の場合は、ありえない例ですよね。私ならきっと緊張しすぎて言葉が震えてしまうかもしれません。これでは、普段以下のパフォーマンスになってしまうでしょう。そして、②は、「ちょっとしたご褒美がもらえるのであれば頑張ってオススメしよう!」と前向きな姿勢から、どのようにしたら注文に繋げることが出来るのかを工夫するようになります。
このように、程よい緊張感を与えることでスタッフのモチベーションアップにも繋がり、それが実際のパフォーマンスを向上させることに繋げることが出来ます。そして、何よりもそれを通じて得た成功体験によりスタッフは大きく成長します

ヤンキース・ドットソンの法則をもとに各飲食店舗の教育スタイルを考えてみると、非効率な教育方法を採用している店舗が、実は、少なくないことがわかります。
多くの飲食店では、全てのスタッフに共通した教育方法をとっているケースが多くあります。例えば、教える内容や、順番、教え方が常に一緒なのです。これでは、覚えるスピードやそのパフォーマンスレベルは完全にそのスタッフにゆだねられることになります。人それぞれには、必ず能力の違いが存在しています。つまり、全スタッフに共通して万能な教育方法というのは存在しないのです。もちろん、いくつかのグループに分類し、グループごとの教育方針を作成することは出来るかもしれません。しかし、すべてのスタッフが成長する一つの教育方法は存在していないのです。スタッフのレベルの目指す目標値は一緒でも、その過程は常に一緒だとは限らないということが言えます。そのため、それぞれのスタッフに適した教育方針を考え、計画を立て実行しなければならないのです。
そして、もう一つ、目標達成した時の評価をしっかりと出来ていない店舗が多くあります。
ヤンキース・ドットソンの法則では、適度な緊張感がパフォーマンスを向上させることが判明されています。つまり、目標を達成することで何らかのご褒美を必ず与えることで業務パフォーマンスを向上させることが簡単に出来ます。ご褒美とはどんな些細なことでも問題ありません。先ほどの例にもあったように、むしろご褒美が大きすぎると、緊張感が高くなりすぎるためにかえってパフォーマンスは低下する可能性があります。そのため、各スタッフの特性をしっかりと把握し、その方に合ったご褒美を考えると最も効果的だと言えます。

例えば、
お金に執着のあるスタッフの場合は、成果に対してインセンティブを支払うと良いでしょう。休みに執着のあるスタッフの場合は、成果ごとに特別休を与えると効果的でしょう。
などのように、スタッフの“動機”に合ったご褒美を考えると効果的です。
私の支援先の飲食店では、各スタッフとの個人面談は欠かせません。面談を通して、そのスタッフの働く動機、将来の夢、好きなこと、嫌いなこと、育った環境などを確認することで人間性を確認しています。そして、その人の特性をもとに、適材適所に合った各種担当制を採用したり、業務ごとの成果に対する報酬を決定しています。それにより、各スタッフに適度の緊張感を与えて続けることができ、常に高いパフォーマンスレベルを維持することが出来ています。

 - 飲食店における人材育成

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