優秀なスタッフが育つ飲食店の仕組み作り

前回、

飲食店のスタッフ不足を解消するためには、

“募集する”という考えから、“集客する”という考えへの転換が必要だとお伝えしました。
そのためにも、その飲食店で働くことで得られる賃金以上のメリットを具体的に表現する必要があります。
アルバイトスタッフとの接点となる各種求人媒体や張り紙などは、一目見ただけでお店の魅力がしっかりと伝わり、
そこで輝ける自分をイメージできなければスタッフの集客効果を得ることは出来ません。
そして、求人内容がいかに素晴らしい内容であっても、実態との乖離があれば、スタッフはすぐに辞めてしまうでしょう。

募集して採用することは、あくまでもスタートラインです。
重要なことは、採用後、優秀なパートナーへと育て上げることです。
せっかく多額の資金を投入してスタッフを採用することが出来ても、辞めてしまっては意味がありません。
これは、採用できなかった時以上の損失が発生していることになります。
求人を掲載するためにかかった費用に、やめるまでに費やした時間と給与が加わるからです。

人材不足における次なる問題は

飲食業界は離職率が非常に高い業界だということです。
離職率が高いのには様々な理由がありますが、一言でまとめると労働環境が悪いということが挙げられます。
優秀なスタッフを多く育てるためにも、スタッフが育つ労働環境を構築しなければなりません。
それなのに、多くの飲食店舗では一方的にお店の考えをスタッフに押し付けているケースがほとんどです。
ハウスルールや規則を落とし込むことに重きを置いているお店が多くありすぎるのです。
確かに、これらのルールは飲食店において特に重要なことです。
しかし、もっと重要なことは、そのルールが何故存在しているのかということです。

お店にあるルールや規則などは何のために存在しており、それを実施することでどのような効果が得られるのか？
などの会社の理念教育がかけてしまっているのです。

「うちには企業理念があって、それをスタッフにちゃんと渡しているから大丈夫だ！」
と感じられた方、企業理念があるというレベルでは、まったく意味がありません。
私のクライアント先のほとんどの会社に企業理念は存在していました。
私が大手の飲食チェーンに勤めていた時にもそれは存在していました。
しかし、正直どれも紙に書かれた文字に過ぎず、まったく意味のなさないものでした！
これでは、理念に共感できるスタッフは限りなく少ないでしょう。
重要なことはその理念を具体的に噛み砕いて絶えずスタッフに伝え続けることであり、
伝える為の環境をしっかりとつくることです。
そして、企業理念を伝えるための、入り口がオリエンテーションです。

○皆様のお店ではオリエンテーションは実施していますか？
○そのオリエンテーションの内容は規則やルールなどを落とし込むだけのものになっていないでしょうか？

スタッフもお客様同様にお店に第一印象を抱きます。
そして一度持った印象を変えることは容易なことではありません。
もし、アルバイト初日にオリエンテーションも実施せずに、着替えさせていきなり現場に投げ出してしまっていては、優秀なスタッフを育てることは難しいでしょう。各作業に経営者の想いが入らず、作業中心になってしまうからです。
また、スタッフルームが雑然としていて清潔感がなければ、スタッフは皆それに慣れ、当たり前になってしまいます。
一度習慣化されてしまうと、二度と元に戻ることはないでしょう。
このような現象を防止するためにも、職場環境を改善する必要があります。
その第一歩として、まずはオリエンテーションを実施することをお勧めします。
どんなに小さな飲食店でもオリエンテーションは必要です。
そして、その内容は規則やルールを伝える為のものではなく、
そのお店が存在している理由を伝えるものでなければなりません。